心理学における共感性・共感力とは、相手の気持ちに理解を示す性質・能力です。混合しがちな言葉として「同情」が挙げられますが、同情は相手事を自分事のように捉えることで共感とは似て非なる概念です。
そんな共感性・共感力はコミュニケーションを円滑に進める立派な能力といえます。また、人間関係を中心とした分野で幅広く応用が利く能力でもあるのです。
この記事では、心理学における共感性・共感力を身につける3つのメリットを解説していきます。「共感性・共感力はなぜ必要なの?」と疑問に思うあなたは必読。
共感性・共感力のおさらい
共感力とは、相手の考えや主張に「その通りだ」と感じること、またその気持ちを相手に伝えることです。冒頭でお伝えした同情とは、以下の通りややニュアンスが異なります。
- 同情は、落ち込んでいたり自分より立場が低い相手の境遇を理解し気持ちを汲むこと
- 共感は、相手の立場に関係なく、その気持ちや境遇に心から同意、同感すること
同情には、格上が格下に「情けをかける」といった意味合いがあるのに対して、共感にはそのような差が一切ない、純粋な思いやりの能力であることを押さえておきましょう。
共感性・共感力が重要な理由
人とのコミュニケーションにおいて共感性・共感力はなぜ重要で、どうして円滑な人間関係の構築に欠かせない能力なのでしょうか?
その理由は、人は誰もが「承認欲求」を持っていて、それを満たしてくれる相手を求めているからです。
共感性が高く共感力に優れる人は、相手の承認欲求を自然と満たしてあげることができるため、
「一緒にいて居心地がいい」
「話していてストレスがなく楽しい」
「この人とずっと一緒にいたい」
と感じてもらうことができるのです。これは恋愛でもビジネスでも、どんな人間関係においてもメリットとなります。
つまり共感性・共感力が高い人とは、相手の承認欲求を満たす能力が高い人と言い換えることもできます。
この共感力は生まれ持った能力ではなく、トレーニングをしたり成功体験を積み重ねれば誰でも高めることができます。
続いては、共感性・共感力を身につけることによるメリットを見ていきましょう。
心理学における共感性・共感力を身につける3つのメリット
1. 友達が増える
心理学における共感性・共感力を身につけることで友達が増えます。人は誰しも「自分の気持ちを理解してほしい」と願う生き物です。
悩みがあれば親身になって聞いてほしいですし、主張したことには「わかる」と相づちをうってほしいもの。
共感性・共感力を示すことは「相手の感情を受け止めること」なので、相手は心理的にラクになります。そうしていつしかあなたをなくてはならない友達と認めるでしょう。
2. 恋愛成就しやすくなる
心理学における共感性・共感力を身につけることで恋愛成就しやすくなります。恋愛対象を決める際、多くの方は「自分との相性」を重視するかと思います。
自分の価値観に共感してくれる相手、自分の恋愛感情を受け容れてくれる相手。こうした条件で恋人を選ぶため、共感性・共感力を身につければ意中の相手が振り向いてくれる可能性が高まるといえるでしょう。
3. ビジネスにおける人脈が広がりやすくなる
心理学における共感性・共感力はビジネスにおける人脈を広げる性質・能力でもあります。共感とは相手の気持ちを理解することであり、相手に興味を示すことでもあるのです。
損得によらずビジネスシーンで共感性・共感力を示す機会を増やすことで、相手との心理関係が構築され、「たなぼた式」に仕事の話が舞い込む可能性もあるでしょう。
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共感性・共感力を高める3つのコツ
1. まずは誰でもできるテクニックを実践する
共感力の獲得において、いきなり「相手の表情や仕草を観察して気持ちを察しましょう」と言われても、それができたら苦労しません。
共感力が低いと感じていたり、共感性をもっと高めたいと願っている人は、まずは誰でもできる基本のテクニックを覚えて1つずつ確実に実践してみてください。
【共感を示すテクニック一覧】
- 会話中に相づちをうつ回数を意図的に増やす
- 相手の話を前傾姿勢で聞く
- 相手の言いたいことや主張を復唱する(オウム返し)
- 相手との些細な共通点を見つけて話題に出す
- 相手7割、自分3割の配分で会話する
最初はこのような小手先のテクニックから始めて、共感することによる相手の反応を見て学び、成功体験を増やしていきましょう。その成功体験の積み重ねが、いずれ自然な共感性の獲得につながります。
会話が苦手な方でも実践可能なテクニックは、以下の記事でも詳しく解説しています。
自分の意見を言い出しにくいと感じている方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。
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2. 相手の考え方を否定せず「グレーゾーン」を意識する
本当に共感力の高い人とは、相手と会話をしていて「違う」と思ったことを素直に伝えることができます。どんな話や考えにも同意・同感することは、相手が求めている共感ではなくただのイエスマンであり、相手の承認欲求は満たされません。
本当の共感性・共感力を身につけるための考え方として、自分の考え方を「グレーゾーン」に置いて会話をすることがおすすめです。
例えば、相手の主張が明らかに間違っていたり自分と正反対だと感じた場合でも、
「そういう考え方もあるのか」
「自分にはない考え方だから面白い」
「どうしてそう思うのかもっと知りたい」
と、相手の主張をわざと肯定したり正面から否定もせずに、1つの意見として捉えて、その主張をよりたくさん話してもらえるよう誘導してみましょう。
- 肯定できる主張は積極的に認める
- 否定的な主張は一旦「保留」にする
こうした自分なりのグレーゾーンを持っておくと、少なくとも相手の話を否定することはなくなります。
3. 自分の意見まで相手に合わせない
共感性や共感力を高めようとしている人にありがちな間違いとして、「自分の意見や信念まで相手に合わせてしまう」というものがあります。先ほどのイエスマンの例えとも似ていますが、相手は他人であるあなたに対して話して、自分とは違う意見や考え方を持っているあなたが共感してくれるからこそ、承認欲求が満たされ人間関係が深まるのです。
相手のすべてに同意することはもう1人の自分に対して話しているようなものであり、どんな意見でも認めてくれる人と会話をしても、実は承認欲求はまったく満たされないのです。
また、自分の意思を捨てて他人の意見のすべてに共感すると、他人の意見だけで自分が作り上げられてしまい、いずれ「自分を見失う」という大きなストレスを感じることになります。他人の意見を尊重することは大切ですが、自分の確固たる信念まで相手と同調してしまうことは絶対に避けましょう。
自分の意見を曲げてまで手に入れた人間関係は、表面上は仲良く見えたとしても、お互いのメリットにはまったくなり得ません。共感力を高めるために「ここまでなら受け入れられる」というグレーゾーンを作りながら、「ここだけは譲れない」という揺るぎない意思を持つことも、真の共感性・共感力を手に入れるために欠かせないポイントです。
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まとめ
心理学における共感性・共感力は立派な能力です。友達作り、恋愛成就、人脈の構築などあらゆる人間関係において活かすことができるため、身につけておいて損はありません。
- 他人との会話の中で相づちをうつ回数を増やす
- 相手の話を聞くときは前傾姿勢を心がける
- 相手の言い分を復唱する
まずは、今すぐにでも実践可能な上記3点を意識的に実践してみましょう。いずれも手軽に共感性・共感力を身につける方法です。相手を心理的にラクにする共感性・共感力を身につけ、「人たらし」を目指してみませんか?