突然ですが、「謙遜への返し方」で悩んだ経験はありませんか?近所、学校、職場などあらゆるシーンにおいて謙遜する人はいるでしょう。
この記事では、男女両方に使える謙遜への返し方・褒めテクニックを解説していきます。謙遜する人が身近にいるあなたの参考になれば幸いです。
褒められて嬉しくない人はいない
まず大前提として、褒められて嬉しくない人はいません。人は誰もが心理的に「自分は他人より賢い・面白い・誠実であると思いたがる」という傾向があり、他人より劣っていると本気で考えている人はほとんどいないでしょう。つまり、表向きは謙遜していても、実は内心では少なからず喜んでいるのです。
しかし、大人になるにつれて「できて当たり前」「経験豊富」「若い人の見本になるべき」という視点で見られるため、褒めてくれる人は減り、褒められる回数も少なくなっていきます。すると人は、褒められることにだんだんと飢えてくるのです。年齢を重ねるほど1回の褒め言葉の価値が高まる傾向にあり、人によって差はありますが、年齢の高い人ほど褒められることによる快感を得やすいとされています。
太鼓持ちのような作り褒めは時に逆効果となりますが、相手に本心から褒められて嬉しくない人はいません。謙遜のほとんどは、冷静を装うための演技なのです。
人が謙遜する心理3パターン
褒められると嬉しいにも関わらず謙遜してしまう心理について、主なパターンを3種類ご紹介します。
1. 自己評価が低い
自己評価の低さが原因で、他人に褒められても素直に「ありがとう」と言えない。自分を称賛に値する人間だとは思えない。これが、謙遜する男女の代表的な心理です。
ただ、謙遜したとしても、その人は、あなたの褒め言葉を記憶しています。また、「褒められた」ということを1つの成功体験だと受け止めているはずです。
ここでいう成功体験とは、自己評価を高めるために必要な「褒められる体験」。他人の称賛を受けて初めて、自分を受け容れ、謙遜するクセをなくしていくための体験ともいえます。
つまり、自己評価の低い「謙遜する人」への接し方・謙遜への返し方は、とにかく相手を褒め続けるのが有効というわけです。
2. 自己防衛意識が高い
他人から妬まれたり注目されることを防ぐため、自己防衛意識の高さから謙遜をする人もいます。過去に褒め言葉をそのまま受け取った結果「調子に乗っている」と言われた経験をしていたり、才能のある人が『能ある鷹は爪隠す』の心理から意図的に謙遜をするケースもあります。
このような人も、褒められること自体を嫌うことはほとんどありません。しかし過去の経験から「褒められていいことはない」と学習したため、謙遜を自分の立場や心の安定を守る自己防衛の手段として使っているのです。
このような疑り深い人を褒めて喜ばせるには、テクニックよりも「本心から褒めてくれている」と思ってもらえる程度の信頼関係を築くことが大切です。
3. 承認欲求が強い
「もっとたくさん褒めてほしい」「自分を認めてほしい」「チヤホヤされたい」と強く願っている承認欲求の強い人は、謙遜をたくさん褒められるためのテクニックとして使っています。「そんなことないですよ」と謙遜することで、相手からのさらなる褒め言葉を引き出そうとしているのです。
承認欲求が強い人は「他人から認められたい」という思いが人一倍強いが故に、実は他人から嫌われることをとても恐れています。嫌われないように自分を相手より下手に見せるための謙遜は、先ほどの自己防衛とも重なる部分があります。
しかしこのタイプの人は、褒められることを素直に喜んでくれるため、最もシンプルな褒め続けるというテクニックはとても有効です。
謙遜への返し方・褒めテクニック
謙遜する人の心理について理解したところで、ここからは謙遜への返し方と効果的な褒めテクニックを3つ解説していきます。
もう一度お伝えしますが、褒められて嬉しくない人はいません。自分が褒めたい人や気を引きたい異性を想像しながら、以下の3つのテクニックを参考にしてみてください。
1. 1度の謙遜で褒めることをやめない
1度の謙遜で褒めることをやめれば、相手はあなたからの称賛を社交辞令だと受け止めます。「自分なんてまだまだですよ」などと謙遜されても、相手を褒め続けましょう。
《謙遜への返し方・例文》
あなた:「この間まとめてくれた資料、すごく見やすくまとめられてたよ!Aさんってすごいよね」
Aさん:「いやいや、そんなことないよ」
あなた:「ううん、本当に几帳面で読みやすかったもの。あれってどうやって作ったの?」
Aさん:「ワードのスマートアート機能でまとめただけだよ」
あなた:「そうなんだ!今度ぜひ私にも教えてほしいな」
もしも褒めるだけでは会話が続かないと感じたら、「褒め言葉+話題の展開」をするのもOK。例文3行目の赤字のように話題を展開すれば、さりげなく謙遜を回避できます。
2. 謙遜する人が笑顔になるまで褒め続ける
謙遜への返し方・褒めテクニックを本当の意味で成功させるには、謙遜する人が笑顔になるまで褒め続けるのがカギ。
相手の笑顔を引き出せないうちに褒めるのをやめてしまうと、相手は「謙遜しすぎて嫌な思いをさせてしまった…」と自己否定に入ってしまいます。
ただし「笑顔になるまで」を忠実に守りすぎて、相手がうんざりするほど何度も何度も褒め続けることは逆効果です。その褒め言葉はもはや本心ではなくなり、相手にかえって嫌な思いをさせてしまいます。
笑顔になるまで褒め続ける具体的なコツは、長期的な視点で、1度の褒めテクニックだけで笑顔を引き出そうとしないこと。例えば、日をまたいで同じことをもう1回褒めることで、その褒め言葉に説得力を感じてもらえて「お世辞じゃなく本心から褒めてくれている」と喜んでもらえます。
相手の心をじわじわと嬉しくさせるジャブのような褒め言葉を少しずつ伝えるイメージで、時間をかけて相手の心をほぐしていきましょう。
3. 褒められ慣れている人への褒めテクニック
容姿が明らかに良い人に「綺麗だね」と言ったり、誰に対しても優しく接せられる人に「優しいね」と伝えても、相手の心にはほとんど響きません。褒められ慣れている人は褒められることに飢えておらず、言われ慣れた褒め言葉は「少し嬉しい挨拶」「社交辞令」くらいにしか感じてもらえません。
これは相手に感謝の心がなかったり性格が悪いわけではなく、褒められることがその人にとって日常だからです。誰もが知っているその人の魅力を誰もが言いそうな褒め言葉で表現しても、効果はありません。
このような褒められ慣れている人を褒めて喜ばせる方法は、本人が気づいていないその人の魅力を見抜き、それを素直に伝えてあげることです。
コミュニケーション心理学で用いられる『ジョハリの窓』という考え方のうち、盲点の窓(自分は気づいておらず他人には知られている自己)に当てはまる魅力を伝えてあげると、その褒め言葉には慣れていないため、相手の心を大きく揺さぶることができます。
誰も気づいていない盲点を見抜くことで、「自分の知らない魅力に気づいてくれた」「この人は他人と違う特別な視点で私を見てくれている」と感じてもらえるため、褒めテクニックとしての効果も抜群です。
褒められ慣れている人に対しては、本人さえも気づいていない相手の魅力を見つけることから始めてみましょう。
まとめ
日本特有の風習ともいえる「謙遜」。同国で暮らす限り、謙遜する人と接する機会は絶えずあるでしょう。そんなときに覚えておきたいのが、この記事で紹介した「謙遜の返し方」です。
謙遜する人は、決して悪気があって、あなたの言葉を否定しているわけではありません。相手の自己評価を高める・相手の成功体験を増やすつもりで褒め続けてみましょう。