心理学

自己実現の本質的な意味とその欲求を満たす2つの方法

自己実現の本質的な意味とその欲求を満たす2つの方法

マズローの5段階欲求のうち、最も高次な位置にあるとされる「自己実現欲求」。
ここでいう自己実現とは、ありのままの自分を謳歌することです。

自己実現の意味合いだけを考えれば実践しやすそうに感じるでしょう。
しかし、実際に自己実現できている人間はほとんどいません。

この記事では、自己実現の本質的な意味とその欲求を満たす2つの方法を解説します。

自己実現の本質的な意味

自己実現の本質的な意味

自己実現の本質的な意味は、ありのままの自分らしく生きるということです。アメリカの心理学者マズローは、この原理の礎となる『人間の5段階欲求説』を提唱しています。

自己実現の意味がよくわかる『マズローの5段階欲求』

マズローの5段階欲求は、満たしやすい欲求から順に、生理的欲求・安全欲求・社会的欲求・承認欲求・自己実現欲求で構成されています。

  • 生理的欲求…睡眠欲、食欲、性欲などの本能的な欲求。
  • 安全欲求…自然災害や暴力などを受けない暮らしを保証されたいという欲求。
  • 社会的欲求…会社やコミュニティに属し、人と繋がりたいという欲求。
  • 承認欲求…地位・名誉を築き、第3者から承認・称賛されたいという欲求。
  • 自己実現欲求…ありのままの自分が抱く願望を実現させたいという欲求。

このうち生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認欲求は「不足を補う欲求」といえます。
あるいは、「顕在的な欲求」とも言い換えることができるでしょう。

それに対し、自己実現欲求は「充足を生む欲求」ないしは「潜在的な欲求」。つまり、衣食住、人間関係、地位や名誉に満足して初めて抱くのが自己実現欲求であるわけです。

自己実現の本質は「変わること」ではない

夢の実現のために自分を変えることが自己実現、という誤った理論が交錯していることがありますが、これは大きな勘違いです。

自己実現の本質は、ありのままの自分として願望実現に向けた創造をすることにあります。
本来の自分から変化することではないので、誤った解釈をしないようにしましょう。

「今の自分を変える」というよりは「元々の自分に還る」というのが、自己実現の正しい解釈といえます。

自己実現欲求する/自己実現欲求を満たす2つの方法

自己実現欲求する/自己実現欲求を満たす2つの方法

不足を補う欲求を順番に満たしていく

生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認欲求といった「不足を補う欲求」を順番に満たすことで自己実現に近づけます。具体的な実践方法もあわせて見ていきましょう。

生理的な欲求を満たす方法
➡ 良質な睡眠をとる、栄養バランスのとれた食事を心がける、健全な性生活を送る

安全欲求を満たす方法
➡ セキュリティ/耐震性の良好な住まいを確保する、暴力/嫌がらせのない人間とのみ関わる

社会的欲求を満たす方法
➡ SNSのみに依存しない、積極的に外出する、会社/コミュニティに所属しておく

承認欲求を満たす方法
➡ 手に職をつける、資格を取得する、現職のスキルアップを目指す、コンペで受賞する

不足を補う欲求は比較的満たしやすく、日々の生活習慣・行動習慣・マインドを改善することがポイントとなります。

体裁のために嘘をつきすぎない

私たち日本人は社会の中で建前と本音の使い分けをする機会が多いといえるでしょう。
そうして体裁のために嘘をつきすぎれば、自己実現欲求を見落としてしまいます。

できるだけ自分の心に従い、本音を発信できる場を確保しておくべきです。たとえばSNSアカウントを作成し、あなたの展望・本望を発信し続けるのも効果的な方法になります。

どこか1箇所でも構いませんから、あなたの秘めた自己実現欲求を言語化、ないしは口頭で発信する場を設けましょう。

自己実現欲求を満たした人の特徴9つ

自己実現欲求を満たした人の特徴9つ

先に紹介したマズローは、著名人から身近な学生に至るまで「自己実現欲求を満たしている」とされる幅広い人物を調査し、その特徴を以下のようにまとめています。

  • 現状を効果的に捉えることができる
  • 自発的に思考・行動できる
  • ユーモアのセンスがある
  • 創造力に溢れている
  • 人間関係が狭く深く、充実している
  • 自分の人生を客観的に見つめることができる
  • これまでの人生経験を深く理解し、肯定できている
  • 自分と他者をあるがままに受容できる
  • 人類の幸福に関心がある

自己実現ができている人は、以上の特徴・傾向を持っているとされています。

もちろん、上記には例外もあります。
例えば、広く浅い人間関係のほうが自分らしく感じられたり、居心地が良い人もいるでしょう。
上の特徴に当てはまっていないからと言って、自己実現ができていないとは限りません。

では、「自己実現ができている」という状態を認知するためには、一体何が必要なのでしょうか?
そのキーワードが、「自己探求」です。

自己実現を認知するための「自己探求」とは?

自己実現を認知するための「自己探求」とは?

自己探求とは、簡単にまとめると「自分の欲求を具体的に知ること」です。

  • 生理的欲求(食事、睡眠)や安全欲求(住居、非暴力)を満たすために、自分は今何に取り組むべきなのか?
  • 社会的欲求(他者とのつながり、他者からの承認)に満足するために、今何が足りなくて、これから何をすれば良いのか?
  • 自分が望む、真の承認欲求(自分の使命、生きる目的)とは何か?

以上のように、マズローの5段階欲求のそれぞれの段階で、何が満たせていて、何が不足していて、その現状に対して何を行うべきかを具体的、かつ明確に理解することが大切です。

欲求の種類や大小は、当然ながら、人それぞれ異なります。
したがって、自分だけの潜在的な欲求や能力を具体的に理解していなければ、何に対して努力したら良いか、またどのように努力したら良いかが分からず、自己実現欲求を満たすことは決してできません。
自分のことは自分が一番分かっているようで、実は欲求や能力のほとんどは潜在意識に隠れていて、自力で見つけることが難しいものなのです。

ここで注目して欲しいことは、欲求を見つけることは「難しい」というだけで、不可能ではないということ。
潜在的な欲求に気づき、それを理解することは、誰でも可能なのです。

自己探求の具体的なやり方

自己探求は、以下の質問を自身に投げかけ、自問をひたすらに繰り返すことで、徐々に具体化されていきます。

自分が夢中になる物事は何か?
➡ なぜその物事に夢中になるのか?
➡ それは現在達成できているか?
➡ できていなければ、今後どうすれば達成できるようになるか?

自分の強みは何か?
➡ その強みを、今の仕事や人間関係に活かせているか?
➡ その強みは、承認欲求を満たすことに繋がるか?
➡ 繋がるなら、どう努力すれば良いか?

以上のように自問自答(=自己探求)を繰り返し、潜在的な欲求を具体化しましょう。
またその際は、後でいつでも見直せるよう、紙やノートにすべてを書き出しましょう。

「面倒くさい」と思うかもしれませんが、面倒だからこそ、ほとんどの人は自己探求を怠ります。
誰もやらないから、自己実現欲求を満たせている人がごく少数しかいないのです。
裏を返せば、自己探求を心がければ、誰もが自己実現に近づくことができるのです。

ありのままの自分を創造し、自己実現欲求を満たすため、まずは自己探求を始めてみましょう。

まとめ

自己実現できている状態とは、いわば、高次な自分に還った状態です。
その状態を手に入れるためにも「顕在化している欲求」をいち早く満たしましょう。

また、目先の欲求に着目しすぎるあまり、あなたの中にある自己実現欲求を見落とさないようにしてください。ありのままの自分として、幸福な未来を創造していきましょう。

 

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