心理学

HSP特有の心理とは|過敏な性質と賢く付き合う2つの術

HSP特有の心理とは|過敏な性質と賢く付き合う2つの術

HSPとは、外部刺激に過敏な気質を指します。扁桃体(へんとうたい)というストレスを感知・処理する脳神経が人並み以上に活発なために生じる体質でもあります。

そんな過敏体質と賢く付き合うには、まず、HSP特有の心理を知らなければなりません。さっそくこの記事では、HSP特有の心理とはなにかを解説していきます。

HSP特有の心理とは

HSP特有の心理とは

HSP特有の心理を指す代表的な言葉は「過敏(敏感)」と「繊細」の2つ。人、モノ、環境、音などのあらゆる外部刺激に過敏で、繊細すぎるまでに影響されてしまう心理をもちます。

  • 高圧的な上司に仕事を頼まれると気持ちに余裕がなくなり、普段の実力が発揮できない
  • 芸術性の高い音楽、アート作品に感銘を受ける
  • 神経質すぎるほどに他人の出す物音が気になってしまう

このような項目は、HSP特有の心理をより具体的に表しています。良くも悪くも、過敏・繊細すぎるまでに影響されやすいHSPならではの気質ともいえるでしょう。

DOESによるHSP診断

HSPの概念を提唱したアメリカの心理学者エレイン・アーロン博士は、HSPには次の4つの特性があると述べています。

【HSPの4つの特性】

①情報処理能力に長けている(Depth of processing)
②痛みや外部刺激に敏感に反応する(Overstimulated)
③他人への共感力が高い(Emotionally reactive and high Empathy)
④些細な変化に気づきやすい(Sensitivity to Subtleties)

これら4つの頭文字をまとめて、HSPの典型的な特徴を「DOES(ダス)」と呼んでいます。このDOESによって、自身にHSPの気質が備わっているかどうかをセルフチェックすることができます。

DOESのすべての特徴にまんべんなく当てはまる人もいれば、どれか1つだけが突出している人もいるでしょう。HSPの気質は感情や感覚に左右される部分も大きく、客観的に診断することは困難です。

ここからは、DOESに該当するHSP特有の4つの心理についてさらに掘り下げていきます。

HSPに特有の4つの心理

HSPに特有の4つの心理

心理1. 情報処理能力に長けている

HSPの気質を持つ人は、高い「情報処理能力」を持っています。その情報処理能力の高さから、HSPは1つの情報から10の考察や推察を行うことができます。その弊害として、次のような心理的な疲労やストレスを感じやすいのです。

  • 自分の言葉が別の意味に捉えられていないか心配してしまう
  • 相手に言われた言葉の意味を深く考え込んでしまう
  • 相手の態度の裏にどんな意図があるのか深読みしてしまう

その一方で、1つの命題から10の結論や可能性を導けることもHSPの特徴です。例えばHSPは、あらゆるリスクを事前に考えることができるため、失敗の確率を減らして仕事を堅実にこなすことができます。

HSPの「繊細」「慎重」「冷静」はネガティブに捉えられがちですが、情報処理能力の高さゆえに得られるポジティブな一面もあるのです。

心理2. 痛みや外部刺激に敏感に反応する

HSPの典型的な特徴が、「音や光・においに敏感に反応する」というものです。この特性のために、

  • 音が気になって仕事に集中できない
  • 少しでも光が差すと眠れない
  • タバコの臭いがする場所にいられない

といったネガティブな心理状態に陥るケースも多々あります。

HSPが人混みを避けたり、自然やシンプルな服装・暮らしを好む理由も、刺激が少なく心理的に落ち着くためです。刺激の少ない環境作りは、HSPに特有の生きづらさを和らげてくれます。

心理3. 他人への共感力が高い

他人に共感しやすい」ことも、HSPの特徴の1つです。

  • 他人の感情に自分の気持ちが左右される
  • 悲しいニュースを見ると心がひどく痛む
  • 暴力的な作品やシーンをどうしても見られない

こうした心理に心当たりのある方は、HSPの特性を持っているかもしれません。

また、他人に対する共感力や感情移入の程度が強い人は、HSPの中でも「エンパス」と呼ばれる特性に近いとされています。共感力が特別に秀でているエンパスは、他人の考えを事前に察することができたり、相手の体調や心理を少し観察しただけで読み取ることができます。

「外からの刺激は大丈夫だけど人付き合いがどうしても苦手」という方は、HSPに加えてエンパスについても理解を深めることで、より自分に合う生き方を見つけることができるでしょう。

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心理4. 些細な変化に気づきやすい

HSPの4つ目の特徴は、「些細な変化に気づきやすい」ことです。外界からの変化に敏感に反応してしまう根本的な理由も、脳の情報処理能力の高さによるもの。

例えばHSPは、他人の特徴的な仕草やクセをすぐに見つけられたり、その仕草から相手の心理を察知することができます。人間観察が得意だったり相手の会話や服装から性格を言い当てられる人は、HSPの気質を持っている可能性があります。

HSPとは、持って生まれた気質です。人種や肌の色を変えることができないように、HSPもその特性自体に悩むのではなく、

  • HSP特有のつらさにどう対処すべきか?
  • HSPの特性を活かすにはどうすべきか?

といったように、HSPを自身の長所に変える思考を持つことが重要です。

最後に、HSPの特性と上手に向き合う方法を2つご紹介します。

HSP/過敏気質と賢く付き合う2つの術

HSP/過敏気質と賢く付き合う2つの術

1. HSPを病気だと捉えない

そもそもHSPは気質であり、病気ではありません。ところが、「私は変だ。きっと病気に違いない」と思い込んでしまうHSPの該当者は少なくないのです。

今や、その過敏な気質と向き合っている人は5人に1人の割合で存在します。HSPなのは自分だけという考え方からシフトし、HSPを1つの個性だと捉えましょう。

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2. HSPを活かせる仕事に就く

過敏・繊細なHSPの気質を活かせる仕事は豊富にあります。適職に就けば、その気質だからこそのやりがいを感じられ、自分に自信がもてるようになります。

  • 人の気持ちを過敏に察知できる気質を活かすなら…カウンセラー、セラピスト、介護士
  • 繊細な感性を活かすなら…フラワーコーディネーター、芸術家、文筆家、陶芸家

このように、あなただけの適職に就き、HSPである自分を受け容れる環境を整えましょう。HSPの気質は生まれつき備わっているとされています。ならば、その気質を無理に変えるよりも、活かす方が賢明だとは思いませんか。

まとめ

HSP特有の心理を表す言葉とは、「過敏」と「繊細」の2つです。そして、その過敏気質と賢く付き合うには、HSPを病気だと捉えず、適職に就くのが最善策といえます。

誰しも個性・特有の性格傾向をもちます。HSPも、そんな個性・特有の性格傾向の1つにすぎません。

過敏気質である自分を責める、無理に変えようとせず、ありのままの自分でいられる環境作りを最優先に考えましょう。

 

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