自己肯定感とは、「私は愛されている」と自分自身で思える感覚のこと。この自己肯定感の高さは幼少期の記憶や家庭環境の影響が大きいと言われ、自己肯定感が「親のせいで低くなる」というケースもあります。
子どもの自己肯定感を低くする親には、一体どんな特徴があるのか。また親が原因で育たなかった自己肯定感を今から高めていくには、何を意識すれば良いのでしょうか?
今回は、子どもの自己肯定感を低くする親の特徴と自分を好きになるための心がけについて解説していきます。
自己肯定感を下げる親の特徴
「親のせいで自己肯定感が低い」と感じる人は、母親もしくは父親が以下の特徴に当てはまっている可能性があります。
【子どもの自己肯定感を低くする親の特徴】
- 叱るばかりで褒めない
- 過干渉で自立させない
- 子どもに期待しすぎる
- 他人とよく比較する
特徴①:叱るばかりで褒めない
子どもの自己肯定感を低くする親の最初の特徴は、「叱るばかりで褒めない」というもの。アメとムチで言うところの鞭で叩いてばかりで褒められた記憶がない人は、「私は褒められるところがない人間なんだ」と刷り込ませられ、自分を好きになるという感性が養われなくなるのです。
また、幼少期から否定されることが当たり前になると、親以外の他人からも否定されないと「このままで大丈夫だろうか」「私は評価されているんだろうか」と不安を感じるようになり、自分の努力や頑張りを自分で認められなくなることもあります。「好きの反対は無関心」と言われるように、本人にとってはむしろ否定してくれたほうが、自分の存在や居場所を感じることができるのです。
しかし親や他人に叱られてばかりでは、自分を肯定することはいつまで経ってもできません。自己肯定感を高めるには、自分の能力や魅力を褒めてくれる人を見つけたり、自分の良いところを見つけて褒めたり受け入れることが大切です。
特徴②:過干渉で自立させない
親のせいで自己肯定感が低いと感じる人は、両親から「過干渉に育てられてきた」という場合もあります。進路も仕事も恋人も、何でもかんでも親が決めたことに従ったり親の判断に任せっきりになると、いざ独り立ちした時に自分の選択に自信を持てなくなり、親に依存するばかりで自己肯定感を育てられなくなるのです。
また、親にいつまでも子ども扱いされていると、「私には自立する能力がない」と自分で思い込むようにもなり、自立心もなかなか養われません。家族仲が良いのは素敵なことですが、自立したいのに自立させてくれなかったり、親子同士で共依存の関係が出来上がってしまっていると、自己肯定感は低いままです。
このパターンは、親のせいという場合もあれば、親離れできていない自分に原因がある可能性もあります。自己肯定感を高めるには、楽に生きられるコンフォートゾーンからあえて抜け出して、自立心を養うことも重要です。
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特徴③:子どもに期待しすぎる
子どもの自己肯定感を低くしてしまう親は、「子どもに期待しすぎる」という傾向もあります。
子どもは、人生のお手本であり最も身近な大人でもある親に褒められたり期待に応えたいという気持ちを、根本的に持っているものです。しかしその期待があまりに高かったり子どもの興味にそぐわないものだと、どれだけ自分なりに頑張っても期待に応えることができず、無力感や罪悪感を感じるようになってしまいます。
また、子ども自身の「期待に応えないといけない」という責任感の強さも、本当にやりたいことを我慢したり自分の才能を過小評価することにも繋がります。自己肯定感と似た言葉に、自分の能力を自分で認めることができる「自己効力感」という概念がありますが、この自己効力感を養うことで自己肯定感も一緒に高めていくことができるでしょう。
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特徴④:他人とよく比較する
親から兄弟や友達とよく「比較」をされて育った人も、自己肯定感を感じにくくなります。親は子どもにもっと成長してもらいたくて「お兄ちゃんならできてた」「あの子のほうが上手」と言っていたつもりでも、本人からすると他人より劣っている部分が強調されてしまうのです。
【比較されると自己肯定感が高まらない理由】
- 他人との比較グセがつき、ありのままの自分を受け入れられなくなる
- どの分野にも上には上がいて、比較を続ける限りいつまでも満足できない
- 自分の長所より欠点に意識が向き、自己肯定感ではなく劣等感が育つ
自己肯定感とは、「自分は愛されている」「自分には価値がある」と自分で思うことができる感覚です。そうした自然体な自分自身を認めるという感覚は、他人と比較するばかりでは決して育ちません。
親のせいで低くなった自己肯定感を高める方法
自己肯定感の低さは「100%親のせい」と言い切ることはできませんが、親の育て方や価値観が影響している場合も少なからずあります。そうした一種のトラウマとも言うべき自己肯定感を低くする原因には、一体どのように向き合うべきなのでしょうか。
続いては、親の影響で低くなってしまった自己肯定感の高め方を具体的に2つご紹介します。
【自己肯定感の高め方】
- 親から離れる
- 親に感謝する
方法①:親から離れる
親のせいで自己肯定感が低いと感じる人は、まず大前提として「親から離れる」こと。この「離れる」とは、実家暮らしの人が一人暮らしを始めるような「物理的な親離れ」はもちろん、親に依存しないで一人の人間として自立するという「精神的な親離れ」も含みます。
過干渉な親の特徴のところでもお伝えしたように、親のせいで自信や自尊心を持てないと感じている人は、実は無意識のうちに親に甘えていたり依存していたりと、大人になった今も「親子」という主従関係を続けていて独立できていないということもあるのです。
どんな些細なことも親に話したり相談できるというのは良い関係でもありますが、親に決めてもらわないと何もできない状態になってしまうと、自分で決めたことに自信を持ったり責任を負うということができず、自分を受け入れる力や感性が育ちません。まずは、自分の自己肯定感を低くする直接的な原因から離れることを第一に意識しましょう。
方法②:親に感謝する
親のせいで自己肯定感が低いままだと感じている人は、受け入れ難いかもしれませんが「親に感謝する」ということも大事です。
両親は、子どもに自分を嫌いになってほしくて叱ったり過干渉になるのではなく、「しっかりした人に育てたい」という思いが強かったり、子どもの将来を真剣に考えた結果厳しすぎる接し方になってしまったというケースもあります。
また、自己肯定感の低さを親のせいにすると、自分に原因があると思わずに済むため、辛さは確かに和らぎます。しかし、根本の自己肯定感は低いままで「親のせいだからどうしようもない」と否定的に考えるようにもなってしまうのです。
その反対に、両親にここまで育ててくれたことに感謝をして憎しみや他責思考を手放すことができれば、家族間のトラウマを克服したり自分を肯定できる瞬間を見つけることが少しずつできるようになっていくでしょう。
感謝といっても、親に具体的な形で恩返しをする必要はありません。ただ自分のことを好きになれるように生きさえすれば、たとえ親に文句や愚痴を言われたとしても、それが結果的に一番の恩返しなのです。
まとめ
親のせいで育てられなかった自己肯定感は、心持ち次第で今からでも十分に高めることができます。そのためには、原因と思われる親から物理的にも精神的にも離れることが必要です。
自分の価値は、親が決めるものではありません。これからは、自分で自分を好きになれるような人生を一歩ずつ歩んでいきましょう。