音や光などの感覚に過敏に反応したり、繊細な性格で過剰に気を遣ってしまう「HSP」は、仲良しの友達でも疲れてしまうことがあります。その理由にはHSPの特性が関係しており、決してその友人が嫌いだったり自分のコミュニケーション能力が低いわけではありません。
そこで今回は、HSPが友達関係に疲れる原因と対処法を解説していきます。仲良しの友達に気疲れする自分を責めてしまっている方は必見です。
HSPが友達関係に疲れる原因
さっそく、HSPが友達関係に疲れる4つの原因を見ていきましょう。
【HSPの友達疲れの原因】
- 友達の言動に気を遣いすぎる
- 価値観が合わない友達と関わっている
- 友達関係が広すぎる
- 友達ではなく場所が合っていない
原因①:友達の言動に気を遣いすぎる
HSPが友達関係に疲れる1つ目の原因は、その友人の言動の1つ1つが気になり、「過剰に気を遣ってしまう」から。その人の発言の真意を考えたり、人から嫌われたくないという気持ちが強いHSPの場合、たとえ長年の友人であっても当たり障りない関わり方を好みます。
- 言動を素直に受け取れず裏の意味を考えてしまう
- 自分の発言で相手を怒らせたかもしれないと勘ぐってしまう
- 友達と遊ぶたびに今日も嫌われなかったか気になってしまう
上記のようなことに心当たりがある方は、答えの出ない堂々巡りの憶測で、自分自身を疲れさせてしまいます。人間関係において気遣いは大事ですが、HSPはその気遣いが自分にとっても、そして相手にとっても過剰になってしまうことがあるのです。
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原因②:価値観が合わない友達と関わっている
HSPが友達関係に疲れる2つ目の原因は、「価値観が合わない友達と関わっている」から。先ほど少し触れましたが、HSPは「繊細さん」と呼ばれることもあるように、自分より他人を優先するあまり人の意見に左右されたり、些細な言動に一喜一憂する傾向があります。
価値観の合う友達ならマイペースに関われるため疲れることもありませんが、波長が根本的に合わない友人の場合、たとえ相手に悪気がなくても、自分のペースを保ったり相手に意見することができず、我慢を強いられて精神的に疲労してしまいます。
さらに追い打ちをかけるように、HSPは人に合わせたり空気を読む力が優れているため、価値観の違う相手からは「気の合う人」と思われ、遊びのお誘いが絶えず、きっぱり断ることもできず、ずっと疲れさせられるという悪循環に陥ることもあります。
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原因③:友達関係が広すぎる
人に気を遣うことが当たり前になっているHSPにとって、「友達関係が広く自分のキャパシティを超えてしまう」ということも疲れの原因になります。友達と直接会うことがなくても、例えばグループラインの通知やSNSの投稿が気になったり、いろんな人と同時にやり取りすることによっても精神的に疲労してしまいます。
交友関係が広いということは、それだけ人から受け取る刺激も増えるということ。HSPにとって必ずしも狭い関わりが良いとは限りませんが、自分のコントロールできる範囲を超えてしまうと、人間関係そのものに嫌気が差して衝動的にリセットしてしまうこともあるでしょう。
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原因④:友達ではなく場所が合っていない
HSPの人は、LINEのやり取りや通話ではまったく疲れないのに、外で遊ぶとなぜか疲れるということもあります。その理由は、友人との相性が悪いのではなく、訪れた「場所」に自分の苦手な刺激が多いから。
HSPは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感のいずれかが人より鋭く、刺激を過剰に受け取ってしまうという特性があります。もし友達と一緒に出かけた先が下記の特徴に当てはまれば、その場所の過剰な刺激を受け取ってしまって疲れているかもしれません。
【HSPの苦手な刺激】
- 音量の大きなBGMや激しい物音がする
- 光量があったりフラッシュの点滅が多い
- 辛い臭いやすっぱい臭いなど、香りがきつい
- 人混みにいる時間が長くたくさんの人に気を遣う
- 子どもの泣き声や母親の怒る声が苦手
このようにHSPにとって不快な環境が疲労の原因になっている場合は、会う場所や時間を変えるなどの工夫が必要です。
HSPが良好な友達関係を築く方法
HSPが友達関係に疲れる原因が分かれば、対処法も自ずと明らかになり、自分に合った対策を見つけられるようになります。
ここからはこれまで紹介してきた原因を踏まえて、気疲れしない友達関係を築く方法を具体的に解説していきます。
【良好な友達関係を築く方法】
- 苦手な友達と距離を置く
- 行きたくない用事や誘いは断る
- 友達と合う場所を変える
- 一人の時間を作る
方法①:苦手な友達と関わる時間を減らす
HSPにとって良好な友達関係を築く上で最も重要なことは、関わる人と関わらない人をはっきりと線引きすること。そして自分にとって合わないと感じる人とは意識的に距離を置き、「関わる時間を減らす」ことが重要です。
HSPは一般的に、苦手な人にも好かれたい(嫌われたくない)という気持ちが強い傾向にあります。しかし人は、性格も個性も十人十色で、全員に好かれるということは不可能です。
しかしHSPは、この「合わない人がいて当たり前」という前提がどうしても腑に落ちなくて、全員と仲良くしようと無理やり頑張り、気疲れしてしまうのです。気の合う友達と遊ぶ時間を増やしたり一人の時間を充実させて、苦手な友達との関わりを必要最低限に留めましょう。
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方法②:行きたくない用事や誘いは断る
HSPにとって難しいことかもしれませんが、行きたくない用事や気が乗らないお誘いは、やはり「しっかりと断る」こと。もし苦手な友達に誘われたり、気の合う友人でもタイミングが良くない場合は、「行かない」という意思をはっきりと伝えましょう。
「少しの時間なら…」と中途半端な気持ちでお誘いを受けると、結局当日も帰り時が分からず相手のペースに合わせてしまい、疲労困憊で帰宅することになります。また「予定が分からないから後で連絡するね」と結論を先延ばしにすると、こちらから断りの連絡をしないといけないことのプレッシャーが日に日に募り、心がずっと落ち着きません。
人は誘いを断られ続けると、いずれ「誘っても来ないから」と声をかけてこなくなります。もしそれが苦手な人であれば距離を自然に離すことができるため、相手のご機嫌を中途半端に伺おうとしないで、自分の気持ちに従って誘いをお断りしましょう。
しかしその一方で、気の合う友達のお誘いも断り続けると、切りたくない縁が切れてしまうという可能性もあります。もし今後も仲良くしたい友達からの誘いを断る場合は、こちらから「来週の日曜日はどう?」と代替案を提示したり、誘ってくれたことへの感謝の気持ちを伝えましょう。
もし本当の友達なら、誘いを断ってもあなたを嫌いになることはありません。罪悪感を抱えながらしぶしぶ友達と遊ぶよりも、自分が心から楽しめるタイミングで、マイペースでいられる友達関係を築いていきましょう。
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方法③:一人の時間を作る
他人の意見や価値観に振り回されやすいHSPが良好な友達関係を築くには、「一人になれる時間を作ること」も非常に大切です。LINEもSNSも見ないようにして他人との繋がりを一時的に断ち、自分のことだけに集中できる時間を作ってください。
【一人の時間におすすめの過ごし方】
瞑想、ヨガ・ストレッチ、筋トレ、読書、映画・ドラマ鑑賞、晩酌、一人カフェ
たとえ褒め言葉や好意であってもその裏の意味を考えてしまうHSPにとっては、友達本人にではなく、自分自身にアプローチするほうが効果的なのです。一人の時間を充実させることで、友達への依存度が減り、自分のご機嫌を自分で取れるようになり、相手の言動に左右されることも少なくなるでしょう。
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まとめ
繊細な性格のHSPは、根本的に友達関係に疲れやすいという特性があります。人付き合いに疲れてしまう自分を責めないことも、人間関係を深めていく上で重要です。
今回ご紹介した原因に身に覚えがある方は、まずは自身ができそうな対処法を1つ見つけて実践してみましょう。